ときめき倶楽部

大したことはしゃべってません

恋はつとめて

皆さんは朝活という言葉を知っていますか?朝活とはその名の通り朝からランニングをしたり読書をしたりカフェでモーニングを食べるといったなんともリア充み溢れるアクティビティです。

最近ではそんな朝活で新しい恋を見つける人もいるのだとか。どこかに朝活から始まる素敵な恋があったりしないかなあ……

…あったあ!!!(Vo.あきとくん)

 

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もうすぐ大阪から上京して2ヶ月になる。こっちでの生活にも慣れてきたから、今流行りの「朝活」をはじめることにした。連日の飲み会でお腹周りがちょっと気になってきたからマンションの周りを軽くランニングすることに。人気のコースなのか、朝6時でも沢山の人が走っている。

ランニングをはじめて3週間と5日が経った頃、私は運命の出会いをしてしまった。

ある日の信号待ちの時、ふと隣を見ると一人の男性がいた。

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横顔しか見えなかったけどその人は端正な顔立ちをしていて、頬を伝った汗が朝日に照らされてキラキラと光っているように見えた。かっこいい人やなあ…と思っている内に信号は変わり、その人はもういなくなっていた。

 

それからいつものコースでその人をよく見かけるようになった。トレードマークのグレーのジャージを見つけると無意識に見惚れてしまう自分がいた。

 

数日後、その人が振り返った時に目があった。向こうは一瞬困惑したような顔をしたけど、すぐに笑って会釈してくれた。ずっと見てたのがバレたのかな…変な人だと思われてたらどうしよう、と知り合いでもないのにそんな心配をしていた。

 

金曜日の帰りに、家の近くに小洒落たカフェがオープンしていたのを見た。どうやらモーニングもやっているみたいで、明日は土曜日だし、ランニングの後に行ってみようと思った。

 

次の日の朝、約2kmのコースを走り終えた後、カフェへ向かった。店内はこじんまりとしていて、通りに面したカウンター席が5つ、二人がけのテーブル席が3つあるだけだった。端のカウンター席に案内された私はエッグベネディクトと紅茶のモーニングセットを注文した。

待っている間、スマホで朝のニュースを見ていると、来客を告げるドアのベルがカランカランと鳴った。音のする方に目をやるとそこにいたのはいつものあの人だった。向こうも私の存在に気付いたらしく、こちらへやってきた。

 

「おはようございます」

「おはようございます…え~っと…」

「こうやってお話するのははじめてですね」

 

そう言ってその人は笑った。

 

「隣、いいですか?」

「あっどうぞどうぞ」

 

私の隣の席に座ったその人はコーヒーを注文した。

 

「はじめてまして、僕重岡っていいます」

「重岡さんはじめてまして、◯◯です。」

「なんか…変な感じですね(笑)」

「そうですね、いつも朝にお会いしてるから(笑)」

「この辺にお住まいなんですよね?」

「はい、2ヶ月前に上京してきたばっかりですけど」

「へえ~、実は僕もこっちきたばっかりで」

「重岡さんはどちらから?」

「兵庫です。てか◯◯さんも関西ですよね?」

「あっやっぱわかります?」

「だってイントネーションがめっちゃ関西弁やし(笑)」

「そっか…なるべく標準語で喋るようにしてるんですけど」

「別に無理しんでもええんとちゃいます?関西弁かわええですやん」

 

重岡さんの口から出た「かわいい」という言葉にドキっとする。褒められてるのは関西弁なのに。

 

「にしてもすごい偶然やね、こんなとこで会うなんて」

「ですよね~しかもお話するのがはじめてっていう(笑)

「ずっと気になるなあとは思っとったんやけど走ってるとどうしても声かけにくくて」

 

とここで注文していたものが来た。ごゆっくりと言って去っていった店員さんがこちらを見ている。カップルみたいに見えてたりするのかな。そんな自惚れたことを考えてしまった。

 

「それ何?エッグベネ…」

エッグベネディクト、美味しいですよ」

「はじめて見たわそんなおしゃれなもん」

「一口…食べます?」

「ええよええよ(笑)ゆっくり食べて」

 

モーニングセットを食べながら重岡さんといろいろなお話をした。重岡さんも就職の都合で春に上京してきたこと。健康ヲタクでランニングは健康のためにはじめたこと。ついつい奮発して高めのグレーのジャージを買ってしまったこと。今まで知らなかったことを沢山知れた。そんな楽しい時間はあっという間だった。

 

「歩きで来はったん?」

「はい、家すぐ近くなんで」

「じゃあ近くまで一緒に帰りません?」

 

カフェを後にして二人で並んで歩いた。こんなことになるならもっとしっかりメイクして、かわいいジャージを着てきたら良かったなあなんて考えている内にマンションの前に着いた。

 

「じゃあ、私ここなんで」

「えっ…僕もここなんやけど」

 

そう言って指差したマンションは私の住んでるマンションの向かい側だった。なんだかとても嬉しくなった。ぐっと距離が縮まった気がした。じゃあまたと言ってマンションに入ろうとすると、

 

「あの…嫌じゃなかったらでええんやけど、明日の朝よかったら一緒に走りません?」

 

まさかの誘いに私は舞い上がってしまった。ニヤけそうになる表情筋をグッと抑え、もちろん、と快諾して集合時間を決めた。自分の部屋に戻ってからあまりの嬉しさに大阪の友達に電話してしまった。土曜の朝っぱらから電話なんてかけてくんなと怒られたけど何やかんや全部聞いてくれた。

重岡さんって言うのかあ…笑顔が素敵な人だったな。今日一日でこんなにも距離が縮まるなんて。私は幸せいっぱいだった。

 

次の日の朝、いつもより30分早く起きて支度をはじめた。ランニングしたら落ちるのにも関わらず、普段より丁寧にメイクをした。ジャージもなるべくかわいいのを選んだ。

定刻の5分前にマンションを出ると、既に重岡さんがストレッチをしながら待っていた。

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「おお、おはようさん」

「おはようございます」

「しっかり準備運動しとかなあかんで、怪我するから」

 

重岡さんの隣に並んで軽くストレッチをしたあと、ゆっくりとしたペースで走り出した。

 

「あっちいな~~~」

「6月の朝でも走ると暑いですよね」

「僕、人より汗かきやからちょっと走っただけですぐ汗だくになるんよ(笑)」

「でもそれって代謝がいいってことだからいいんじゃないですか?」

「まあな(笑)でも夏はめんどくさいで」

 

他愛のない会話をしながらいつもの道を走った。約2kmのコースが普段より短く思えた。

それからは6時15分に外に出ると重岡さんと会うから一緒に走るようになった。都合が合わなくて会えない日もあったけど、いつしか土曜日はランニングの後にあのカフェでモーニングを食べる、というルーティンが出来ていた。

 

一緒に走るようになってから3週間程経ったとき、重岡さんがある提案をした。

 

「今週の土曜日に一駅先のカフェに行ってみません?」

「新しくオープンしたんですか?」

「そうそう、気になるなあと思って」

 

なんで重岡さんがそんなに詳しいかは分からなかったけど、週末そのカフェへ二人で向かった。

思っていたより大きなカフェでおひとりさまから5.6人の男女のグループまで店内は結構賑わっていた。二人がけのテーブルへ案内された私たちは揃ってオススメモーニングセットを注文した。

 

「朝やのに人多いなあ」

「グループ客も多いですよね」

「なんやあれ、合コンみたいやな(笑)」

「あっでも今、朝合コンってのがあるみたいですよ?」

「へえ~~朝の合コンか」

「夜とはまた違った楽しさがあるみたいで最近話題になってるんです」

「俺そんなん全ッ然わからん(笑)」

「朝活でああやって新しい恋を見つける人もいるみたいですよ」

 

私がそう言うと、急に重岡さんの顔から笑顔が消えた。

 

「そっか…朝活で恋か…」

「まあ俺もこうやって◯◯さんと出会えたからおんなじようなもんやな」

 

突然の言葉の意味を私はすぐに理解することが出来なかった。そしてやっと分かった後、自分の顔がみるみる赤くなっていくのが感じられた。

 

「いきなりこんなこと言われたら迷惑かもしれんけど…」

 

「はじめて見た時から◯◯さんのことが好きでした。こんな僕でよかったら、お付き合いしてくれませんか?」

 

 

驚きと嬉しさで困惑した私は声を出せずにいた。

 

「…って突然言われても困るよな(笑)ごめんごめん、今のナシ!!」

 

そう言ってはにかんだ重岡さん。

ナシなんてできる訳ない。

 

「…じゃないです、迷惑なんかじゃないです」

「私も一目見た時からずっと気になっていました、こちらこそ…こんな私で良ければよろしくお願いします」

 

赤い頬を見られたくなかった私は深々とお辞儀をした。

 

「…ほんまに?えっめっちゃ嬉しいねんけど!!よっしゃ~~~!!!」

 

そう言ってガッツポーズをする重岡さんはとても幼く可愛く見えた。声が大きかったから周りの視線が一気に私たちに集まる。

 

「ちょっ…ちょっと!他の人見てるから……」

「あっごめん、つい嬉しくて(笑)」

 

そう言っていたずらそうに笑う重岡さんはとっても愛らしかった。

と、ここで注文していたモーニングセットが来た。ごゆっくりと言って去っていった店員さんがさっきのやり取りを聞いていたのかニヤニヤと私たちを見ている。カップルみたいに見えるのかなあって思ったけどもう自惚れなんかじゃない。正真正銘のカップルなんだから。こんなに素敵な人の彼女になれる私は世界一幸せ者だと思った。

 

「おっ美味そ!いただきま~す」

 

美味しそうに頬張る彼を見ながら私もふわふわのパンケーキを口にする。

甘くて優しい恋の味がした。

 

Fin.

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あ~~~~~~~~~いいな~~~~~~~~~!!!!!

は~~~胸キュン!リアコリアコ!!だいきゃんスマイルまぢリアコ!(うるさい)私も朝活はじめようかな~~3日でやめると思うけど。

このお話は途中で載せていた写真を見て思いつきました。素敵な素材を提供してくださったドル誌に感謝(拝)こんなにしっかり重岡くんとの恋を考えたのははじめてだったけどめちゃくちゃ楽しかった!シゲッとジャパンに影響されてる感モリモリでちょっとワロ()

いや~~はてブはたのしいなあ!!!じわじわブームがきてるからまた次の記事でお会いしましょう~~~~~~~~~(多分)また来週~~~~~~~~~(多分)